2011年5月14日土曜日

流山の放射能汚染

北海道大学のCoSTEP(科学技術コミュニケーション教育研究部門)が「もっとわかる 放射能・放射線」という電子書籍(PDF)を無料公開しています(http://costep.hucc.hokudai.ac.jp/costep/news/article/121/)。

この本によるとICRP(国際放射線防護委員会)の勧告に基づき、一般の人の線量限度は、1年あたり1 mSvと決まっているそうです。そして、線量限度には、自然放射線や、医療で受ける放射線などによるものは含まないと言います。そして、実効線量の算出法の事例紹介をしています。それによると、

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茨城県水戸市の2011年4月9日の空間線量率は、最大値で 0.157 μGy/h
空間線量の場合は、Gy=Svとすることがでるきる
仮にこのままの状態がこの先1年間続くとすると、0.157[μSv/時] × 24[時間/日] × 365[日]= 1375.32[μSv]
よって1年間の実効線量は 1.38 mSv (自然放射線の分を含む)

水戸市の原子力発電所の事故が起きる前に空間線量率がおおむね45~50 nGy/h
仮に自然放射線が 45 nGy/h(=45 nSv/h)だとすると、1年分は、45[nSv/時間] × 24[時間/日] × 365[日/年] = 394200 [nSv/年] = ca. 0.39 mSvと

さきの 1.38 mSvから、この 0.39 mSvを差し引くと、1 年あたり0.99 mSv。健康への影響を考えるには、この値と、1年あたり1 mSvという線量限度とを比べることになる。
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だそうです。

また、武田邦彦氏のWeb Siteによると(see http://takedanet.com/2011/04/post_f1fe.html)「線量限度1 mSv/year」の法的根拠は、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」であると解説されています。

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放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律
第十九条第一項第一号→許可届出使用者及び許可廃棄業者は、放射性同位元素又は放射性同位元素によつて汚染された物を工場又は事業所において廃棄する場合においては、文部科学省令で定める技術上の基準に従つて放射線障害の防止のために必要な措置を講じなければならない。

とあります。そして、
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則

第十九条第一項→許可使用者及び許可廃棄業者に係る法第十九条第一項 の文部科学省令で定める技術上の基準(第三項に係るものを除く。)については、次に定めるところによるほか、第十五条第一項第三号、第四号から第十号まで、第十一号及び第十二号の規定を準用する。この場合において、同項第三号ロ中「放射性同位元素又は放射線発生装置」とあるのは「放射性同位元素等」と、同項第四号から第九号までの規定中「作業室」とあるのは「廃棄作業室」と、同項第十一号中「使用施設又は管理区域」とあるのは「廃棄施設」と読み替えるものとする。

第十九条第一項第二号ハ→第十四条の十一第一項第四号ロ(3)の排気設備において廃棄する場合にあつては、排気中の放射性同位元素の数量及び濃度を監視することにより、事業所等の境界の外における線量を文部科学大臣が定める線量限度以下とすること。

第十九条第一項第五号ハ→第十四条の十一第一項第五号イ(3)の排水設備において廃棄する場合にあつては、排水中の放射性同位元素の数量及び濃度を監視することにより、事業所等の境界の外における線量を文部科学大臣が定める線量限度以下とすること。

放射線を放出する同位元素の数量等を定める件
第十四条4→規則第十九条第一項第二号ハ及び第五号ハに規定する線量限度は、実効線量が四月一日を始期とする一年間につき一ミリシーベルトとする。
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ところで、流山市にほど近い、東京大学柏キャンパスでは、空間γ線量率を測定しています(http://www2.u-tokyo.ac.jp/erc/index.html)。流山市で線量測定を行っていない以上、行政は流山市の近所にあって、平時の空間線量をチェックしている東大柏キャンパスの計測値をもって流山市に対する対応をとるべきとボクは思います。ということで、ざっくり計算してみました↓

柏の葉キャンパスでは敷地内の二カ所(柏(1), 柏(2))で空間線量を測定しています。ちなみに、5月12日の空間線量率は↓

柏(1) 空間線量率(平均)/ 0.39 μSv/h 自然放射線量率/ 0.1-0.2 μSv/h
柏(1) 空間線量率(平均)/ 0.26 μSv/h 自然放射線量率/ 0.05-0.1 μSv/h


自然放射線を控除した空間線量率は↓

柏(1)/ 0.19-0.29 μSv/h
柏(2)/ 0.16-0.21 μSv/h

自然放射線を控除した年間の実効線量は↓

柏(1)/ 1.66-2.54 mSv
柏(2)/ 1.40-1.84 mSv

1 mSv/year超えてるんですけどorz.....

どうする俺たち?

多分、この法律って事業者を対象にしてるんだよな、きっと(今回のケースでは東電)。で、主務省庁は文科省。このレベルで健康云々はよく分からないけど、こういう場合どういった対応をとるのが市のあるべき姿なのかをとりあえず流山市役所環境部環境政策課 (04-7150-6083)に質問してみますか。
(個人的に、放射能汚染食品を摂取することによる内部被曝の方が恐いです)

あと、北大CoSTEPは「確率的影響」に関して閾値否定派です。

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